温度制御回路つきタイヤウォーマーの製作
今回はミニッツ用に、4輪個別に温度制御回路がついたタイヤウォーマーを作成しました。
気の迷いさんに捧ぐ
3年前の私は、はんだごてを握ったのは中学の授業だけという状態で電子工作には無縁でした。
が、気の迷いさんの「単セル放電器」記事(URL)がきっかけで電子工作を始めました。
そのおかげで今回のようなタイヤウォーマーが作成できました。
今回は気の迷いさんに敬意をこめて
製作記事をまとめたいと思います。
以下長文
基本方針
ラジコン用タイヤウォーマー。
グリップ剤との併用したりすることで
スタート直後から高いグリップを得るのに使われるようです。
簡単につくるならニクロム線を適当なカップに巻いて
線の太さや長さ、電圧などで、ほしい温度を得るのが一般的なようです。
他の用途でも
ラジコン用だけでなく、天体観測のカメラの結露対策などの作例も見られました。
おそらくタイヤだけでなくいろいろな用途で需要がありそうです。
今回のタイヤウォーマーを考える
ニクロム線を巻くだけで作れば低予算で作れるのですが
それでは面白くないので、多少面倒でもなにか違いを出したいと思います。
調べて見ると、サーモスタットICで扱いやすい形のものが売られているようです。
また、サーモスタットICの回路図を見るとFETが必要となってました。
手元にはミニッツのFET交換で余った3010がありましたので
こちらを再利用できるなら、ミニッツ用の記事としておいしい・・・じゃなくて
廃品が再利用できてエコっぽいという事で製作を開始しました。
回路図・動作
今回製作した「温度制御方式ウォーマー」の回路図です。
注:ここに掲示する回路図は何の保証もありません。 自作の参考にされる方は自己責任でお願いいたします。
ヒーター関連の工作は一歩間違えば火災や火傷の恐れがあります。十分に注意してください。
※回路図のイロハもしらずに書いたので至らない部分があるかと思いますがご容赦ください
3/15修正:PChの動作を考えると接続間違ってる気がするので変更
構成
サーモスタットIC「TC622VOA」(DataSheet)を使用しています。
FETにHAT3010を使用しますので、これに合わせてSOPタイプを使用します。
(ピン互換ならなんでもOKです。SP8M4でも可能。利用可能なFETはプリンさんとこが詳しい(URL))
また、サーモスタットIC「TC622」は、温度センサ内蔵ですので、測定対象に近接させる必要があります。
5番ピンの抵抗値によって温度設定を行います。
動作説明
設定温度より低い状態では、TC622は2番ピンから出力がでて3番ピンからはでません。そのためFETのNchに電流が流れ、ヒーターと赤LEDがONとなり、FETのPchは電流が流れず、緑LEDは点灯しません。
設定温度より高くなった場合、2番ピンの出力が止まって、3番ピンから出力がでます。FETのPchで電流が流れて(?)、緑LEDがONとなります。
Pchの使い方が違ってるかも。
TC622の2番ピンとつなぐのが正解では?
もう一度作り直して再検証したい。
実物の製作
MINI-Zで使われるFET3010はSOPなので
TC622もSOPを使います。
この二つを変換基板(ダイセン電子工業 D016)上に実装します
http://dsn-net.net/product/list_henkan.html
変換基板の穴を使って、以下のように各部品を配線します。
注:3010の6番ピンにあたる部分で、パターンをカットする必要があります。
細いドリルで穴を開けてもいいかもしれません。
絵では表現できてませんが
FETの側は、そのままカップに接触させるので反対側(0.65ピッチの面)
こちら側にLEDや半固定抵抗、CRDを配置します。
また、TC622の5番、6番ピン間は基盤用ソケットを実装しています。
テクノベースへようこそ 2009年04月09日 わりと人気です。 http://blog.technobase.jp/archives/569922.html
設定済みの半固定抵抗を抜き差しするようにしています。
画像は後日更新しますが、まとめ画像
ニクロム線を6オームに切り取って編みます。編んだらウコンのチカラの蓋に巻きつけて、耐熱テープで止めます。
ニクロム線は、制御回路の該当部分に、ステンレス用のハンダで止めました。
制御回路を絶縁して、蓋の上部に当たるように設置して、むき出しにならないように、耐熱テープでぐるぐる巻にして完成。
完成例
完成した動画は何回も出してますが以下のようになります
設定温度に達すると加熱が中断されるのがよくわかります。
ON/OFFのタイミングは前日のブログでまとめてます。
http://d.hatena.ne.jp/panda728/20110312/
SPEC
4輪独立温度調節方式のミニッツ用タイヤウォーマー
ニクロム線0.5mm 6Ω仕様(0.8A) x4
電源はUSB 5V仕様
(XT60コネクタ式なので他の電源(電池4本とか)でも適用可)
トリムポット方式で任意の温度に設定変更可能
(サーモスタットICは-40℃〜+125℃まで対応)
設定温度以下で赤ランプ点灯(=加熱中)
設定温度を超えたら緑ランプ点灯(=加熱停止=炊き上がり)
設定温度-2℃で再び赤ランプ点灯(=加熱再開)
温度設定
設定温度は5番ピンに入れる抵抗で変更できます。
抵抗値はデータシートに計算方法がありますが
以下の表に参考値をまとめました。
弱、中、強という感じで
設定済みの半固定抵抗を抜き差しして
温度設定をできるようにしています。
4個同じ仕様にするのは難しいので
設定は個別に対応するほうが無難です。
応用
ヒーターとLEDの組みあわせを入れ替えることで、クーラーにもできるしということで
設定温度±2℃以上の範囲で変化しますが
タイヤウォーマーに限らず、温度制御が必要な状況で応用が可能です。
カメラの結露対策や、グリップヒーター、菌繁殖用の恒温槽とか・・・
アイディア次第ニーズ次第なので今後の展開に期待